世界の一般投資家は仮想通貨の現状をどう見ている?|購入意欲では日韓が最下位に
- 意識調査を分析する際の注意点
- 仮想通貨の意識調査は調査期間・調査内容によって、調査結果が大きく異なることがあります。意識調査の分析をする際には、これらの基本情報を念頭に置きつつ、調査結果の背景を考察する必要があります。
- 日韓は投機目的で仮想通貨認知度が先行
- 3月に8カ国を対象にして実施された仮想通貨に関する意識調査によると、仮想通貨への関心は特に日本と韓国で高くなりました。また、男性の方が仮想通貨への関心が高く、男女差は欧米で特に大きくなりました。さらに、教育水準によっても仮想通貨への関心に大きく違いが出ました。
近年、各国の調査期間は仮想通貨投資の実態を把握すべく、大小様々な意識調査が行われています。
以下では、各国で行われた主要な意識調査の結果を整理し、それぞれの調査結果から読み取れる背景を分析します。
意識調査を分析する際の注意点
近年、各国の調査期間は仮想通貨投資の実態を把握すべく、大小様々な意識調査が行われています。
しかしながら、それらの意識調査の間でしばしば異なる結果が報告されており、仮想通貨に対して様々な誤解を招く元になっています。
当然ながら、それぞれの意識調査は調査対象や調査期間、質問内容が異なっており、調査結果を分析する際にはこれらの基本情報を念頭に置く必要があります。
さらに、その調査結果が統計的に正確かどうかを確認することが望ましいです。
以下では、各国で行われた主要な意識調査の結果を整理し、それぞれの調査結果から読み取れる背景を分析します。
国際間の意識調査
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調査機関 | Opportunity |
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調査期間 | 2 |
調査対象 | |
調査結果 |
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Dalia Reserchによって最近実施された大掛かりな国際的意識調査では、仮想通貨の①認知度、②理解度、③購入意欲、④保有率の4項目について、国際間・性別間・教育水準間の比較を行っています。
これは約3万人という大人数を調査対象にした信頼できる調査であり、仮想通貨の意識に対する国際間の違いを統一的に把握するのに役立ちます。
調査機関 | Dalia Research(ドイツの世界市場調査会社) |
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調査期間 | 2018年3月の1日間 |
調査対象 | 8カ国(米国、英国、ドイツ、ブラジル、日本、韓国、中国、インド)のインターネット利用者29,492人 |
調査結果 | 仮想通貨の平均認知度は74%、平均理解度は49%、購入意欲がある人の割合は平均4%、平均保有率は7%。認知度と理解度は日本と韓国が高かった。一方で、購入意欲がある人の割合は日本、韓国が低い。保有率は日本が11%でトップ、米国と英国が9%で続く。 詳細結果 |
認知度の国際間比較-日韓が高い-
「仮想通貨という言葉を聞いたことがある」と答えた人の割合は8カ国平均で74%となりました。
特に日本と韓国の認知度はそれぞれ83%、87%と突出しています。
平均74%という数字は、数年前までの仮想通貨の認知度から考えると、かなり高い数字だと言えるでしょう。
理解度の国際間比較-日韓が高い-
「仮想通貨がどういうものか知っている」と答えた人の割合は8カ国平均で49%となりました。
こちらも日本と韓国の理解度がそれぞれ61%、60%と突出しています。
一方、理解度には国際間格差があり、中国では36%となっています。
これは、中国の主要検索エンジンBaiduや主要ソーシャルメディアプラットフォームWeiboなどがいち早く仮想通貨関連広告の掲載を取りやめたことが一因として考えられます。
購入意欲の国際間比較-日韓が低い-
「現在仮想通貨を保有していないが、今後6ヶ月以内に購入するつもりだ」と答えた人の割合は8カ国平均で4%となりました。
各国の高い意識レベルに対し、仮想通貨の購入意欲が比較的低い要因としては、この調査が2018年3月に行われたことが挙げられます。
3月は仮想通貨価格が長期的な下落トレンドの最中にあった期間で、ハッキングや取引所の規制などのニュースが多く出た時期であったので、投資家心理がネガティブに働いていたと考えられます。
また、認知度や理解度で平均を大きく上回っていた日本と韓国の購入意欲は低くなっています。
これは、仮想通貨に対する意識が高い日本人や韓国人はすでに仮想通貨を購入していることが要因として考えられます。
保有率の国際間比較-日本がトップ、米国・英国が続く-
「現在仮想通貨を保有している」と答えた人の割合は8カ国平均で7%となりました。
日本人の保有率は11%と突出しており、政府が仮想通貨の法整備に早くから取り組んでいたことなどが要因として考えられます。
日本に次いで、米国と英国の保有率が高くなっており、仮想通貨の購入規制が厳しい中国では3%と他国に比べて低い水準になっています。
性別間比較-全ての項目で男性が女性を上回る-
仮想通貨に対する意識は、全ての項目で男性が女性を上回りました。
項目別に見ると、仮想通貨の理解度で男女間の差が11%ポイントと最も大きくなりました。
男女間の仮想通貨に関する意識の差は欧米諸国で大きかったのに対し、日本ではほとんど差がなく、特に理解度に関しては日本人女性が日本人男性を約3%ポイント上回りました。
教育水準の違いによる比較-教育水準が高い人ほど仮想通貨に関する意識が高い-
教育水準の違いに関しても、全ての項目で高い教育水準の人が低い教育水準の人を上回りました。
特に、仮想通貨の理解度と保有率の差が大きかったです。
高水準の教育を受けた人は、投資に関するリテラシーも高く、また新しいことを学ぶ能力が高いことから仮想通貨に関する関心も高くなっています。
日本|投機目的で仮想通貨認知度が先行
調査機関 | Macromill Group |
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調査対象 | 2017年10月 |
調査対象 | 20歳から69歳の日本人1万人 |
調査結果 | 88%の人々が仮想通貨を認知している。 |
日本人を対象にした意識調査では、88%の人々が「ビットコインという名前を聞いたことがある」と回答しました。
一方、ビットコインを認知している人のうち仮想通貨を購入したことがある人の割合は4.7%に過ぎず、さらに調査時点で仮想通貨を保有している人の割合は2.7%に過ぎませんでした。
この調査は2017年10月に行われており、仮想通貨価格が高騰し始めた11月末以降に仮想通貨購入者が大幅に増加していることを加味すれば、妥当な数字であると言えます。
ビットコイン購入者の購入理由(複数回答可)としては、「仮想通貨に興味があったから」、「今後普及していくと思ったから」と回答した人の割合はそれぞれ42%でトップとなり、次いで「儲かると思ったから」が33%となっています。
この調査結果から、日本では主に投機目的で仮想通貨投資が広く認知されるようになったと考えられます。
韓国|投機目的で仮想通貨認知度が先行
調査機関 | Dooit(韓国のモバイル調査会社) |
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調査対象 | 2017年12月1日から4日 |
調査対象 | 20歳以上の韓国人3018人 |
調査結果 | 90%がビットコインという名前を聞いたことがあると回答。世代ごとのビットコインを購入したことがある人の割合はそれぞれ、29.8%(30代)、26.3%(40代)、23%(50代)、22.4%(20代)。一方、ブロックチェーンとビットコインとの関係性を理解していたのは全体の8%に過ぎなかった。 |
韓国のモバイル調査会社が行った意識調査では、90%もの韓国人がビットコインを認知していることがわかりました。
2017年12月に実施された同調査では、26%の人々が「ビットコインを購入したことがある」と回答しています。
しかしながら、前述したように、2018年3月に行われた国際間の意識調査での韓国の仮想通貨保有率はわずか6%であり、購入意欲も最低水準でした。
したがって、韓国では投機目的で2017年に仮想通貨を購入した多くの人々が、2018年1月の韓国政府の規制報道を受けて仮想通貨を売却したと考えられます。
実際に、同調査でビットコインの購入理由を質問したところ、48%が「単純に興味があるから」、23%が「短期の利益のため」購入したと回答しており、「長期の利益のため」購入した人の割合は16%に過ぎませんでした。
さらに、ビットコインの基礎となっているブロックチェーンを理解している人の割合はわずか8%であったということも明らかになりました。
米国|イーサリアムへの関心が高い
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調査機関 | Finder.com(米調査会社) |
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調査期間 | 2018年2月 |
調査対象 | 米国の成人2001人 |
調査結果 | 7.95%が仮想通貨を保有。男性が女性の2倍以上仮想通貨購入割合が高い。ミレニアル世代(22-37歳)の17%、X世代(37-55歳)の9%弱、ベビーブーマーの2%が仮想通貨を保有していると回答。 |
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調査機関 | Survey Monkey(米モバイル調査会社) |
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調査期間 | 2018年1月第2週 |
調査対象 | 18歳以上の米国人5761人 |
調査結果 | 60%の人々がビットコインを認知していると回答。ビットコインを保有している人の割合は全体で5%だが、ミレニアル世代に限れば保有率は10%。「今後5年間でビットコイン価格が上昇する」と予想した米国人は69%に上り、21%の人々が「今後ビットコインをポートフォリオに加えたい」と回答。仮想通貨に対する信頼性は、ビットコイン24%、イーサリアム46%、リップル23%など。 |
米国のモバイル調査会社Survey Monkeyの調査では、米国民の60%がビットコインを認知していることが明らかになりました。
2013年に行われた米国民の意識調査ではビットコインの認知度は25%程度でしたが、近年急激に認知度が高まったことがわかります。
ビットコインを保有している人の割合は全体で5%程度でしたが、ミレニアル世代に限ればこの数字は10%になり、仮想通貨が特に若者から注目されていることがわかります。
ビットコインの今後に関する質問では、今後5年間でビットコイン価格が「上昇する」と回答した人の割合は69%に上り、「下落する」と答えた13%を大きく上回りました。
また、21%の人々が「今後ビットコインをポートフォリオに追加したい」と回答しました。
この調査はビットコイン価格がピークを過ぎて下落トレンドに入った1月の第2週に行われていますが、それでもなお多くの米国人が仮想通貨に期待しているようです。
さらに、仮想通貨と米国政府の信頼度を比較した興味深い結果がこの調査で明らかになっています。
ビットコイン所有者の24%は政府よりも「ビットコインの方が信頼できる」と回答しており、「政府の方が信頼できる」と回答した17%を上回りました。
同様の調査はイーサリアム、リップル、ライトコインでも行われ、それぞれ46%、23%、41%という結果になりました。
米ドルは「世界の基軸通貨」と言われるほどグローバルな通貨ですが、仮想通貨を理解している投資家は米ドルよりも仮想通貨を信頼していることが調査の結果から伺えます。
英国|仮想通貨決済の導入に積極的
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調査機関 | Citigate Dewe Rogerson(英国のコミュニケーションエージェンシー) |
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調査対象 | イギリスの成人1000人以上 |
調査結果 | 仮想通貨を保有したことがない5人に1人が今後3年以内に仮想通貨を購入したいと考えている。仮想通貨投資を考えていない人のうち、67%が「リスクがありすぎるか一時的な流行」を、61%が「十分な知識を所持していない」を理由として挙げた。 |
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調査機関 | Paymentsense(英国のカード決済サービス企業) |
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調査期間 | 2018年1月17日から21日 |
調査対象 | 504の英国中小企業のビジネスオーナー |
調査結果 | 35%の人が仮想通貨決済が2年以内に主流になると回答。また、13%のオーナーがすでに仮想通貨決済を導入済みと回答。 |
Paymentsenseは英国の中小企業オーナーに仮想通貨決済に関する意識調査を行いました。
それによると、仮想通貨決済が「2年以内に主流になる」と回答したオーナーは35%に上りました。さらに、21%のオーナーは「1年以内に主流になる」と回答しました。
また、13%のオーナーが仮想通貨決済をすでに導入していると回答しました。
欧州ではビットコインなどの仮想通貨決済の受け入れ店舗が他地域と比較して多く、調査結果からもビジネスオーナーの関心の高さが伺えます。
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一方で、仮想通貨決済に嫌悪感を示しているオーナーも一定数存在することが明らかになりました。25%のオーナーは仮想通貨決済が「主流になることはない」と否定的です。
しかしながら、この調査は1月の中旬にかけて行われたことに注意する必要があります。
この期間、ビットコイン価格は一時1万ドルを割り込み、12月のピークから半値以下にまで暴落していました。
政府による規制のニュースも相次いで報道されており、投資家だけでなくビジネスオーナーも仮想通貨に最もネガティブな印象を抱いていた期間に調査が行われていることを加味して調査結果を理解する必要があるでしょう。
ドイツ|性別間・世代間で仮想通貨の捉え方に違いが存在
調査機関 | ポストバンク(ドイツ郵便貯蓄銀行) |
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調査期間 | 2018年2月末から3月末 |
調査対象 | ドイツ人3100人 |
調査結果 | 29%が仮想通貨投資に興味があると回答。なぜ仮想通貨に興味があるのかという質問に対して、女性60%、男性51%が「確立した金融システムからの独立」と回答。一方、「高い利益が期待できる」ことを理由に挙げた人は女性36%、男性56%だった。 |
ドイツの郵便貯金銀行に相当するポストバンクは、国民の多くが仮想通貨市場にポジティブな関心を持っている調査結果を発表しました。
ポストバンクの調査結果からは、性別間や世代間で仮想通貨の捉え方が異なっていることがはっきりとわかります。
例えば、仮想通貨に関心がある理由として、女性回答者の60%は「規制が策定されている」を理由として挙げる一方で、男性回答者の56%は「高い利益が得られる可能性」を挙げました。
「規制と高い利益率」と回答したのは、男性で51%、女性は36%となりました。
仮想通貨に最も関心を示しているのは18~34歳で、そのうちの6%はすでに始めており、14%は今後数ヶ月内に始めようと考えていると回答しました。
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オーストラリア
調査機関 | オーストラリアデジタル商取引協会、アクセンチュア |
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調査対象 | |
調査日時 | |
調査結果 | 購入者に占める男性の割合は83%。保有者には若年層が多い。仮想通貨取引所(DCE)の顧客に占める投資銀行やヘッジファンドの割合が増え始めている。 |
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南アフリカ|マイニングへの関心も高い
調査機関 | MyBroadband(南アフリカのテクノロージー系ニュースサイト) |
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調査期間 | 2018年4月 |
調査対象 | 同サイト読者の1244人 |
調査結果 | 78%が仮想通貨を保有したことがあると回答。過去に仮想通貨投資経験がない22%のうち、25%が「2018年中に仮想通貨に投資する」、15%が「仮想通貨・マイニングの両方に投資する」、7%が「マイニングに投資する」と回答。 |
南アフリカのテクノロジー系ニュースサイトが読者に対して行った意識調査によると、78%もの人々が「仮想通貨に投資したことがある」と回答しました。
この保有率は他国の意識調査の結果に比べて非常に高いですが、その要因として、この調査は同サイトの読者に対して行われたことが挙げられます。
同サイトは頻繁に仮想通貨のニュースを報道しており、仮想通貨の情報を得ようと同サイトに訪問した読者がアンケートに回答したと考えられます。
しかしながら、アフリカではビットコインなどの仮想通貨に対する需要が増えているのも事実です。
アフリカ各国の自国通貨は非常に不安定で、現地通貨を用いずにドルを使って取引をしている地域も存在します。
さらに、アフリカでは個人の銀行口座を開設・維持するのに先進国と比べて非常に高い料金がかかり、ATMなどの環境も十分に整っていません。
そのような環境下では、グローバルで簡単に送金ができる仮想通貨が「実需」として人々に受容されます。
また、同調査では、仮想通貨に投資経験がない人々の15%がマイニングに投資してみたい考えていることが明らかになりました。
日本ではマイニングの認知度は仮想通貨に比べて低いことから、これは非常に高い数字たと言えます。
まとめ
以上の意識調査の結果から、全体として次のようなことが確認されました。
- 若者からの関心が高い
- 一般に、女性より男性の関心が高い(ただし、日本ではその差はわずか)
- 教育水準が高い人々の方が仮想通貨への関心も高い
- 日韓では投機目的の投資が先行し、仮想通貨の認知度が他国より高い
- 欧州、アフリカなどでは仮想通貨決済などの実需に対する関心が高く、今後認知度がさらに高まると考えられる
全体として、現時点では投機目的で仮想通貨を購入している人々の割合が高いと考えられます。
したがって、特に欧米やアフリカなどでは、実需によって仮想通貨の認知度が上昇する余地があると考えられます。
仮想通貨決済などの整備は現在発展段階にあり、実際に仮想通貨が広くされるようになったとき、実需を目的とした投資家が仮想通貨を購入することで再び仮想通貨市場が盛り上がりを見せるようになるでしょう。
引用元: CoinPost
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