ビットコイン市場を支配しているのは日本円ではなく米ドル
- ビットコイン取引を支配するのは日本円ではなく米ドル
- CryptoCompareなどの、ビットコイン取引の内、日本円建てが全体の過半数以上を占めているという情報は間違っているとCoindeskが指摘。同社が新たに発表したデータによると、ビットコイン取引の内、米ドル建てが50%以上を占めており、日本円建ては30%以下に留まった。
- bitFlyer Lightningとは
- bitFlyer Lightningとは、bitFlyer社が運営するビットコインの現物・FX・先物取引、イーサリアムの現物の取引に対応した取引所です。最大15倍のレバレッジを効かせることができます。
Coindeskの調べによって、世界中で引用されているビットコイン取引データには、そもそも調査方法に欠陥があり、取引ペアとしての日本円の重要性が誇張されてしまっていることがわかった。
日本円ではなく米ドル
7月26〜30日間の取引データをCoindeskが分析し、日本円ではなく、米ドルがビットコイン取引の最有力通貨であると提言されました。
Bloomberg(ブルームバーグ)やWall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)などの大手出版社にも引用されている分析サイトのCryptoCompareとCoinhillsは、通貨ペアの観点から、ビットコイン取引を分析していました。
最近までの両サイトのデータでは、日本円建てのビットコイン取引が全体の50%以上を占めていると表されています。
しかし、ここで一つ問題があります。
ほとんどの日本円建ての取引は現物取引ではなく、デリバティブ取引です。
それらの取引は、ビットコインの価格に賭けているだけで、ビットコインの保有者が変わっているわけではありません。
これらの取引は本質的に何かの間違いがあるわけではないですが、デリバティブと現物の取引量を部分的に選択し、分析することで、間違った認識を与えています。
CoinhillsとCryptoCompareのデータは、日本最大級の仮想通貨取引所bitFlyerのデリバティブ取引と現物取引、両種の取引の出来高が日本円建ての取引量に加算されています。
Coindeskの調査対象期間、bitFlyerのLightning FXデリバティブサービスでは1日あたり、約2200億円相当の日本円建ての取引が行われていました。
この数字は、CryptoCompareの日本円建ての取引データの90%を占め、Coinhillsのデータでは、85%を占めています。
それに対し、世界最大級のデリバティブ市場Bitmexの米ドル建ての取引額は、7月23日から24日にかけての24時間で、80億ドル(約8800億円)まで登ります。
しかし、CryptoCompareとCoinhillsの両方のデータにBitmexの額は含まれていません。
これでは、円建てとドル建ての比較は同じものを比較できていません。
前者はデリバティブ取引を取引量に含み、後者はデリバティブ取引を取引量には含んでいないのです。
そこで、Coindeskがこの欠陥を正し、データを分析したところ、全く違った結果が出ました。
右から2番目は、デリバティブ取引を除く現物取引のみのデータ、一番右はbitFlyerのLightning FX、Bitmex、CME、Cboeの4つの主要デリバティブ市場の取引量を含む取引量のデータです。
上のグラフの数値を表にまとめたものです。
日本円 (JPY) |
米国ドル (USD) |
ユーロ (EUR) |
韓国ウォン (KRW) |
その他 | |
---|---|---|---|---|---|
CryptoCompare | 74% | 18% | 3% | 2% | 2% |
Coinhills | 69% | 22% | 0% | 0% | 9% |
Coindesk (現物取引のみ) |
22% | 56% | 9% | 7% | 7% |
Coindesk (デリバティブ含む) |
29% | 69% | 1% | 1% | 1% |
これら両方のデータから、米ドル建てが日本円建てに大きな差をつけていることがわかります。
7月26日から30日にかけて、米ドル建てのシェアは、CryptoCompareのデータでは17%、Coinhillsのデータでは21%、Coindeskの現物取引のみのデータでは56%、Coindeskのデリバティブ取引も含めたデータでは68%となっています。
ただ、Coindeskの調査は5日間という限られた期間内のもので、米ドルがほとんどの仮想通貨の基礎であることを裏付ける、決定的な証拠にはなるわけではありません。
また、日本ではビットコインは合法であり、仮想通貨取引所の規制などの法整備のおかげで、日本は仮想通貨業界のホットスポットであることは変わりません。
仮想通貨業界のデータ分析
取引所ごとに計算に含まれる取引の種類が違うといった不一致や、分析方法の改善前後で、結果が大きく異なることは、仮想通貨業界のデータ分析が初期段階であることを表しています。
CryptoCompareはCoindeskの連絡を受けた後、分析方法を変更し、計算からbitFlyerのデリバティブ市場のデータを除外することを発表しました。
Coinhillsの代表は、Bitmexなどの大手デリバティブ市場を追加していく方針を示しています。
公平を期すために言いますと、CryptoCompareやCoinhillsなどの分析サイトにとって、不確実で、複雑、かつ常に変転し続ける仮想通貨市場に適応することは至難の業です。
今後、データ分析の分野でもさらなる改善、進展が期待されます。
引用元: CoinPost
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