Bitfury日本代表青沼氏による講演|ビットコイン取引を可視化し、KYC/AMLに活用できるCrystalについて
- Bitfury日本代表青沼氏による講演
- 7月10日、日本ブロックチェーン協会(以下、JBA)の仮想通貨部門定例会議で行われたBitfury日本代表の青沼氏による「Bitfuryのビットコインブロックチェーンにおけるハードウェア・ソフトウェア」についての講演内容をお届けします。特に今回注目だったのは、直近でリリースされたビットコイン取引を可視化し、KYC/AMLに活用できるソフトウェアCrystalの紹介です。
Bitfury社概要
同社はブロックチェーンのソフトウェア、ハードウェアの両面から事業を行なっています。同社の成り立ちとしては、マイニング事業からスタートし、2013年から独自ASICの開発を開始した他、データセンターの運営、外販やホスティングサービスも行い、直近2年はソフトウェア事業に注力しているとのことです。
ワシントンDC、サンフランシスコ、ロンドン、アムステルダム、東京、香港など世界17カ国にオフィスを持ち、アイスランド、ジョージア、カナダ、ノルウェーでデータセンターの運営をしており、従業員数は凡そ550名を抱えているとの事です。
興味深かったのはジョージア州のデータマイニング工場についての紹介動画で、3Mの液体の中にサーバーを沈めて冷却効率をあげる液浸冷却についての説明があった他、ブロックボックスというコンテナを改造してモバイル製を持たせたマイニングのデータセンターの紹介もありました。
ブロックチェーンの応用
Bitfury社が行なっているブロックチェーンの応用事例の紹介もありました。
ジョージアでは、政府とBitfury社が提携し、不動産土地登記の検証を進めており、進捗としては現在数十万件ほぼ全部できているそうです。ただ、どういう人がノードを持っているかは開示されていないそうですが、現状ではトークン化も実施していないとの説明がありました。
その他、ウクライナ政府と提携を行い、政府文書をブロックチェーンに載せていく試みの紹介もあり、非常に興味深い内容でした。
Crystalについて
Bitfury社の概要、事例等の説明が行われた後は今回の主題であるCrystalについての紹介がありました。
Crystalとは、ビットコイン取引を可視化するソフトウェアです。
プレスリリースでは、以下のように明記されています。
「クリスタルは、ビットコイン・ブロックチェーンの包括的な表示を提供し、高度な解析とデータスクレイピングにより疑わしい取引や関連する組織を割り出す画期的なツールです。」
同ソフトウェアが生まれた背景には、海外の政府や税務局等とやりとりする中で「作られたマニュアルで見ていくと時間がかかる上に、非常に難しい、取引を可視化できないか」という要望が多かったことがあるそうです。
裁判所などで司法判断をしなければならない際に、テクニカルに馴染みがないと説明が難しいのですが、Crystalがそういったテクニカルな情報を可視化する際に有効になっているようです。
なお、どのアドレスがどこの取引所に属しているか、個人のアドレスを全て捕捉する事は物理的に不可能ですが、ビットコインアドレスと社会に実在する組織等とのつながりの多くは特定できているような状況だとの事です。
Crystalの特徴
特徴①:リスクスコアリング
アドレスからリスクスコアリングを行い、不法行為者と疑わしい者本人やその者との取引があるアドレスの場合などは高いリスクスコアとなります。
特徴②:取引の可視化
ある取引からある取引までの流れがどういった流れになっているかを可視化する事ができます。
特徴③:トラッキング
特定のアドレスに何BTC以上の取引があった場合にアラートを出すなどのトラッキング設定を行う事ができます。
Crystalのユースケース
ユースケース①:ハッシュオーシャンの事例
ハッシュオーシャン社はクラウドマイニングサービスを提供する会社で、3週間で1テラハッシュを貸すサービスを謳っていましたが、約1年後に姿を消しました。
同社をCrystalで検証すると、一切マイニングをした形跡が無い事や、顧客から集めたお金から配当を出すといったネズミ講であった事が明らかになっております。
ユースケース②:wannacry
2017年に世間を騒がせたランサムウェアwannacryの事例の場合、当初被害総額は数千億円にのぼると想定されていましたが、wannacryのアドレスには53.46BTCしか流入がなかった為、想定と比較して少額に止まった事がCrystalを通して明らかになりました。
また、HitBTC経緯で換金した形跡も判明しておりますが、HitBTCのKYCが甘かった為に犯人は特定できていない状況のようです。
終わりに
今回はハードウェア、ソフトウェア両面からユーザーに提供しているBitfury日本代表青沼氏の講演で、同社の取り組みについてさらに知る事ができました。
ビットコインの取引の可視化など、こういったソフトウェアが出てくる事で日本の仮想通貨取引所の内部管理体制をはじめ、仮想通貨業界の環境が整えられていく事でしょうし、仮想通貨、ブロックチェーン業の発展に伴い、Bitfury社が更に飛躍していく事でしょう。
これからもCoinPostでは同社の取り組みについて、メディアサイトの立場からユーザーの皆さまにお伝えして参ります。
日本ブロックチェーン協会(JBA)について
今回の講演は日本ブロックチェーン協会(JBA)の仮想通貨部門定例会議内で行われました。
団体名 | 日本ブロックチェーン協会(略称:JBA) | ||||||
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URL |
設立 |
2014年9月12日
| 代表理事 |
肥後 彰秀(株式会社ガイアックス 執行役)
| 所在地 |
東京都港区
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引用元: CoinPost
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