ベネズエラ政府、銀行にペトロの利用を要求
ベネズエラ政府は国内銀行に対して、仮想通貨ペトロを利用するよう要求している。ベネズエラ経済は現在ハイパーインフレに見舞われており、通貨の価値が大きく下落し、現金を持ち運ぶことすら困難な状況となっている。
ペトロはベネズエラ国内で産出される石油にペッグして発行される仮想通貨だ。しかしペトロの発行プロセスの実態は不透明で、多くの議論を呼んでいる。アメリカのDonald Trump大統領は今年3月に大統領令を発動し、アメリカ国内におけるペトロの使用を禁止する措置を取っている。
ベネズエラのNicolas Maduro大統領は今月、価値が下落した通貨の対処法としてデノミ政策を実施した。これにより法定通貨ボリバルの単位は5桁切り下げられた。ベネズエラの年間のインフレ率は8.3万%にまで上昇しており、経済の混乱は広がるばかりだ。
ボリバルの通貨としての機能が低下しているため、ペトロを代用通貨として活用したいとベネズエラ政府は考えている。以前の報道では、国有の石油企業がペトロを通貨単位として採用することや、政府関係者の給料をペトロで支払うなどの活用例を作るとしていた。
ペトロの利用を推進したいベネズエラ政府ではあるが、ボリバルと同様に負債として発行されているのではとの疑念が生まれている。実際にペトロに関するデータは公表されておらず、担保となる石油の情報も明かされていない。
1ペトロは約60ドルまたは3600ボリバルの交換レートとされてきたが、ボリバルの価格変動が激しいため計算が困難となっている。そこでベネズエラの中央銀行は今月、ペトロの交換レート計算アプリCalculadora Soberanaをアンドロイド端末向けにリリースしている。
ハイパーインフレは人工の経済危機であり、政府が通貨を刷りすぎることで発生する。通貨の信用が著しく低下し、価値が大きく下落する現象だ。現状、ペトロの発行システムの全容が明かされていないため、ベネズエラ国民がペトロの価値を信用することは難しい。そのためペトロがハイパーインフレを解決するための特効薬として機能することはないだろう。
引用元: ビットコインニュース
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